二乗千年

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2023-04-26

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2022-08-03

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2022-02-19

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2021-11-03

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2021-08-08

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2021-04-23

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2021-01-23

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2020-11-07

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2020-08-02

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2020-04-06

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2020-02-04

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2019-12-01

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2019-10-21

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2019-08-25

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2019-06-23

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2019-05-16

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2019-03-03

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2019-01-21

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2018-12-05

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2018-09-11

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2018-05-06

ない放送に浮足立つ地べたのもやし 豊穣の胴体静止して騒ぐ 縄に殴打の痕くっきり冥府の地番 歪む耳から声がする一抹のそれと 宿り木の粘液時雨れ狭き晩餐 白柿狩る瞼この瞬間も皮膚 石沈むわらべうたの輪に有識者 前方への堕胎鳥居を突き崩し 闘技場の勝者…

2018-01-14

要塞へ双眼鏡に雲詰めて 破壊しても木魚の中チョコ溶け始める 柱の傷はおととしが存在した証 象が象を踏んでぺらぺらに花吹雪 カルデラ湖の情念が毛を魚人に槍を 重過失の世に幻獣の肉五トン まだぬくい杖なぜここに噴水が 寂滅の鋭角五つ水に溶かす 綺麗な…

2017-09-28

棘だらけのコート着て日溜まりに立つ 告げるな鳥しかも黒く千切れた明るみに 無限に長い刀を抜く風夏は鞘 夜汽車か荷馬車に裏か表を揺られ歌劇団 蛾を留まらせておく窓に不謹慎包む家 猟犬ほぐれて火に浮かぶ筋肉の川 ホテル揺らす金粉その完全なる躍動 蛇百…

2017-05-29

食虫植物下げ跡地へ自宅を見に行く 防げず鎧の内へ青銅の蝉時雨 魔界の文字崩れやすく星なる和紙貼る やがて火に棲む神殿一巡目と呼ぶべし 砂粒兆の位まで諳んじ初めて歌とす 床に寝て見る吊るされた銀の匙 巡る季節を鉛筆でぐるぐるぐる出でよ 牛の深さを湿…

2017-04-27

そこら中花柄に凧々あがれ 千切った紙の断面の無数の爪を剥がす 裸足でいるのが怖い黒いゼラチンの昼 ガラスの破片は薄く大樹を押し来る音 鈍痛のラッパから棘のあるホース 膣然と熟女満たせば皆丸刈り 疾風が運んだスペアキーだが手袋だけでは 五感に時雨が…

2016-12-30

不断の旅行いつ生け花の気は済むのか 斧を頭へ夜明けのビームのパーティーだ 漆黒無限言行不一致里帰り 宇宙・空中の語弊にロミオという装置 眼も裸に葡萄の実と艶めき合う俘虜 明滅する欠片の数億倍の理系 拡大されたメビウスに一家無心の脈 脳にきらきらし…

2016-11-30

固く結んだ紐で妃を塗るだろう 神経切れて数珠飛び散る木を抜けても国 童話の泥に赤青犇めくのか菱めくのか 狐を売り無傷の玉をバザーで買う さもありなん粘液忍ぶ西部劇 カトマンズの空に柳のずれてある 里思う筒に備えの蝋流す 海苔をお盆に家族ならばと敷…

2016-08-24

小屋クレヨンに恥じらい示す老朽化 テープ引きずり出す手パナマの路地から握られ 日陰強く束子が布団を抉る病 油絵の内外に痛ましく甲冑 器物よ我ここに降る古銭の在り方 閉じた片目の方から声マンホールに舌 鉄香り野いちご摘むかも橋の設計 犬の汚れた歯の…

2016-07-09

バトン転がりやすく冷酷なる港へ 他人が卒園する音で寝る乳児の熱 梅抉り深夜に辿り着く義足 岩が鱗を纏い漠然と猫撫でる (ここから2013年) 人体に同じ目玉喜びを助けてくれ 火花散る落馬もある法師の甘い罠 未明の雪静かに駆逐艦彷徨う ナイター延長万年…

2016-03-29

袋提げやもめに星空背負わせに ヨーロッパにカタカナの手紙を送る 捺印するサイコロの目は七つの山 劇場静かオーロラは拳銃を照らす 国土の天に鉄パイプの涙が乾く 鳥浸かる病人五六人の摩擦 飯食うテレビの前膝もっと折ってほしい 旧宅の引き戸にぶら下がる…