二乗千年

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2015-12-24

焼け残り笑い含ませ沈む鞠 夜這いであれ海へこぼれていくコーヒー 彗星が照らす凶器の腰は女性 彼惜しまれ言い逃れするパンなど焼き 服着せても袖が無駄になる赤い装置 男の孕む母性をトレースせんと雨 清らかな穴の毛深い花火撃つ 晩緑に日傘から風悼むほど…

2015-11-30

静寂に噛み千切られ森となる夜 多分下にあるから足だろう鰓も 山間鄙びて宿くるくる滑稽な独楽 綻びにおとといの砂倒れかかる 無碍に突く虚は洋上の薄い水 爆撃機をかすめる茨の電撃光 回転衰え大木に結い直す釜 雪でもあり塩でもある蛙の瞳 継承者不在ゴム…

2015-08-24

浴す公共部位立ち話もなんですから 鹿発着する球簒奪し問う可否 こころにぽっかり空き縦縞を許す穴 青田に聳える異分子の脛コンクリート ピル円いオレンジで非常階段の前に 川の流れに関与するリモコンの自死 花咲く場所明るく上から床を貼る 日光わたしの背…

2015-07-31

貝殻のスイッチ舐める時刻表 ぬくもりが後引くロープの巣に魚 グリーンピース奥歯に英霊たち語らう 仔山羊を繋いでいた首輪覗けば飼われる 看板ではない夕焼けだ力は不滅だ ヘリとサイレンの音混ざり合う雲間に月 影あらば最も封じよ風の宿 不幸が鳴り公民館…

2015-06-16

奥に響く渦が見えるかいお父さん ボロ切れから踏切鳴る寒かったんだね カーテン巻き取る産毛の塊みたいな息子 旅行者美しく網を引く土曜の時化 板巻くと遠吠えに似て犬が来た 金属が垂れてくるゴルフだ緑ってきれいね 個人事務所からなる熊煌々と湯がく 光な…

2015-04-02

ほうれん草の味が舌に鱗を纏わす 銃束ねるゴムから魂迷う匂い 口論との距離を奏でる虫の足 青空に牙の違和感膝むしる 影とひとつ穴になり紙吹雪を通す 知らずに若い麦踏む靴親戚は脱いでく 六階から伸びる首に貼り付く切手 陸に漆塗って焼き海に飛び込む 清…

2015-02-03

異端の花粉は金属めく人から小人にかけ 酔いはしたが巡る季節に戻さずこの身 喜びは束の間 嘆くように足を振るトラウマ 黎明の露台を指す行為を乗せる 褐色の回廊皮膚となる血の革命 この赤脈々と這い上がる枯れ木の影部屋まで 物置のカスタネットは降ってき…

2014-12-10

糸引く涙が屈折して悲しい翼になる 来年の日当りへ散らばる貨幣 わたしがわたしであるいびつさ社に持ち帰り検討 王ら率い毛玉が杖を突いて来る ビル五階に灰の色を分からせる光 声と杭の通信を拒否落下速度 異星の異物で刺殺され血を吸い込む嵐 眩むほど死ん…

2014-11-02

フグを刺す階段の凹んだ部分 深紅の蝋だから鳥籠置く館 寝た鳶職に台車叫びひとつひとつ植林 トパーズの蝦蟇鳩尾で温める 瓦礫に瓦礫の淡さが棲む雨合羽を着て 爪の黒い光沢に肉切る女が微笑む 幻肢は整数図らずも弧を描く腰 迷路解く梅の辺りが騒がしい 鬱…

2014-08-24

花と緑の町折り紙に鶴・氷柱 砂利の他は脚立のみ星降る密葬 薄々気付くままにしノイローゼのボクサー 老女目くばせただ一度に伐採を誘う 手が手を引きちぎるとカラスになる地の果て 蜘蛛膜下にずるずる高速進んでいる 日没こちらに速く色とりどりの入り口 推…

2014-08-07

豆挽くと風下に黒いフラミンゴ 不覚に傘強いても屋根はガラス張り ピアノが我が家に来たそして通り過ぎていった 藪吊る八階まで善人の高笑い 或るアパートが滅ぶとは金メッキのガンジス 岩に寄せ友の密会剃る女 雨を忘れている暗い林の中耕し 一軒家未然であ…

2014-06-20

宙に浮く爪痕取り込む鏡の自体 製麺所の上着にプテラノドンのワッペン 薬の時間月に宇宙がのしかかる 迷路の一部がクレーンに吊られ遠い花火 実害はさぞかし梅の殖える雑 乳房と目が入れ替わった母だったが譲る 窓にギロチン月の代わりに銀欠く曇天 磁力に噎…

2014-06-10

イチ・ニとザリガニ来るハサミの量狂いそうだ 象にフックをねじ込んで賞状を飾る 貝を浮かべて島にする取り残される やがて美しいレクイエムが流れる日までの目次 室が病んでも病室かノートばらばら カンガルーの肉を吐き旗を沼に浸す 乾拭きの傷で歪む窓越…

2014-05-05

ビン割る星の瞬き怒号を胸に秘め 裏山のまた裏で血を見る野球 粉よぎる地元は適温碁の駐在 炎近法と言うべきか夢から逃げたくて 鶴が汚い触角つけて山砕く 回っているのは誰と聞く旅寿命は初歩 隣は恨みの髪が長い夜蝋燭融けた 水かき失う図面の厚さよ光の中…

2014-04-14

互い違いに主催/主体へ等号招く 実在は抽選された秋なのか 全意味全個体を浮上し息の区へ 死ぐしゃごしゃと賄賂だパッ壁が腕をちぎる 目測で病気の豚を打ち鳴らす 数えきれぬ指一斉に鳴る出産 消滅のひばりまたシールを剥がす 風が動かぬ虎だったら食われて…

2014-03-30

目隠しで殴る踊り子のいた場所 湿原ふらふら吸う素足で触れられるかも 剥がれてまた指紋があるように五大湖 誰も喜ばないから海に行こう飼われて 土盛ってとある昔を選べない 潰れた鈴が鳴ろうとしている月の底 歯ブラシで食パン磨く朝のつもり 階段上がって…

2014-03-05

トマトジュースみたいな彗星馬を駆る 男子寮に斧「のごとく」を抜く生き墨 呻きがいのある陸に慄然とピアノ 小槌のそうでない部分その小槌で打つ 鳥の文字落ちて気泡となる時雨 寄せてはテトラポッドに凍る目とサイダー シンバルまだ震えている苦渋を語らせ…

2014-02-08

諸説飲む茶屋街は羊羹に翳る 幾多の色を経て争乱の石無色 だらりと首を絞め損ねた蔦受信が終わる 粉一立方メートルで守る栗の鎮座 釘濡らす瞳に唾がよく似合う のけぞるタキシードの胸詰め放題にフォーク 夜景に濡れた華奢な犬の毛と踊る奴隷 宿り合う大木野…

2014-01-23

身を寄せ合う寡婦雪辱を図解に託す 土星から泥が降るわたくし引力です 亀の上を紙飛行機が飛ぶもしもはない 駆け巡る破線は高潔なる局部 飢えに吊る橋大雑把に静まり返る ダンスが聞こえる遠くから原生林から 違う方向を見ているカモミールが効いて 塩ブロッ…

2014-01-14

苔むす庭に壷霞ませておく微震 寂寥と果実諂うまで千切り 闇夜に疼く橋サイレンを飲み干して 眠りの目で吸う白昼と飛び散る壁 脱ぎくるもの胸中にまた昆虫に 戯れ言許す柱ぽつんと草の上 羊の胸に雑種と音座布団刺さる キャロルは生まれてない庭で赤いペンキ…

2014-01-01

スープの具の横に住むリャマ土曜に塗る ケース広い夕闇収まり切って浮浪 領域我が敷地に達し揺れて月明の裡 老人車椅子でバケツ二個とホース運ぶ 切断された部屋にいるブックカバーかけて 日傘以外の金属音派手なマダムから 天秤座に生まれていれば姉だった …

2013-12-25

鳥よ恋人よ領地に反響は消えゆく 山鳴りを山の誤報と知って聞く 茶番でひときわ胴体目立たす裸の木 乙女の半身は語感運動せず散りゆく 窓越しの己である闇服しとしと 不気味な蝶をぼくの懐へ逃がす 錬金術師を遊ぶ帰り道光の洪水 ドーベルマンなぜ悲しい液体…

2013-12-11

老人熊手を持ち見つめている時空の断裂 老師去る尻の熱に中庭を残し 荒涼とした農地に清潔にハンバーガー ドアはもちろん建築中の橋脚も飲む 雨の遠くのベランダに常に旬の未亡人 一点を見つめてそこに行く百人 湯を割いて黒く中東の犬を編む ゲラゲラ笑うひ…

2013-11-10

杞憂の舌は濡れている土に銀貨を積み 苛烈な淑女の波水鳥は注ぐ形に 乱暴の効能貼る夜から夜への脱皮 無理の背中は大きい明るい想定が来て押す 彼奴め鉄条網を呼んだぞ妻の眼光る 踏み外す不滅の荒々しいはねを TVを秘めた箱から手紙が溢れ出る 鉄とは差し当…

2013-10-14

汝らのジラの発音からキリン 窓にキャンディーの渦模様映画広告で隠す 水槽に水晶詰めて部屋の電気 拳銃冷たく濡れている月だった塵に 融けた写真を川と呼ぶはずその頃のぼく 開口部がなくても壷かテレポート 首長族を落ちるイヤリング夜に間に合わず 足跡濃…

2013-09-29

猿が近いという声が空き家の床から 非力に細くしておく棒たやすく水星 古都に女郎を切り抜いた和紙が宇宙であるとか 事務所鋭く四辺形として夏の空気 狡猾なのはもたらすからスコープを覗く 地球を嵌めるパラボラアンテナ攻めあぐねる 空気まっすぐ冷えてま…

2013-09-23

チリの酒場にどうせ見えない月ならば 多ければ多いほど手鞠名を追いやる 星空を振り乱すとき首飾り 隔離が美しく響くミサイルの弾頭 未熟な庭に坊主が肉を焼いておる 腕検査する雷光に頼まれて うとうとと宿主が胡桃割るリズム 愛を成す母音が閃きを苛む 滑…

2013-08-23

風上の牛乳を心臓で割る 清酒のタンクに鈍い光その自分らしさ たまねぎ一塊訓練剥ぎ訓練剥ぎホール 早退して午前の砂がよく見える 蝋の痣を席に移すと怖い顔 戦いなどどこにもないきのこ震えている 咳ひとつ遠い昔のテレパシー 憂いと書いて捨てる短冊に冬の…

2013-07-27

防音のビル厳かにフタを置く 靴片方忘れた手で鉄持つ冷たい 樽に朝日が射す穴を孤独と呼べない 山ほどに熊を焼くべく遅く寝る 岸壁は根付かず長い左右の夢 やりきれない吐血の絵に海押して嵌め込む 馬車馬は病死した札束と十字架を残して 爪と家を換えて女は…

2013-07-12

十字路を設けて砂漠なぐさめる 普通誰と呼ばぬカボチャの種を食べる 樫の木溶かしたからもう目印ないよと姉 宇宙は宇宙として百年後の麦を見ていた 行と万人が圧すこめかみ地上が見えない ファン掻き回す肖像画前の故人の溜め息 王駆け寄る笊持って空の笊の…