二乗千年

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2011-01-01から1年間の記事一覧

2011-12-31

風呂から出ている上体で押すチェックボックス 灰着いてコインランドリーに傭兵 紫のヤクと和平を分ける銛 診療に米粒散らす主婦空洞 銀河に近い湯煙をビリヤードは激しく 私が彼に何をしたか染み出す蛍光灯 逆手にアイスピック木立噴出する穴を 服喪の顔を覆…

2011-12-30

ユーフォーが血の風連れていく地鳴り 今月にそっと来て卵を割る 屋上に聞いてない動かない鹿がいる 仕組まれ他殺体は脳天でノート指す 千年の思念の底に酸素ボンベ 一縷の縷で縷縷縷縷と垂らす晴れの死滅 木霊朧に聞く鰹節を削りながら 浮かぶ手招きわたしも…

2011-12-28

女御の多重の裾へ身を音波とくねらす 蛮族倒れて角笛吹く雨は目から殺す ワッショイワッショイ患者来る鬱の二十九画 耳と同じく青白い受話器から名声 くつくつひどい屈曲だ鳩を撃ち殺そう 人と血が広場で遭遇する昼間 装飾された鞘より苦しい胸を下げる 寒天…

2011-12-08

針先に一粒の砂の女王の絶命 筆跡濃く山齧る裏であり蓋する 夜をピンクと呼ぶ友人の玄孫になる 事業センターの窓開く肉が迫り出し悪食 冷蔵庫を開けたまま百度目の二十歳 掛け軸翻るとある藪は耄碌の産毛 矢印は後年へ知恵の輪を掠る 碁盤縞に名を攪乱する無…

2011-11-28

遺言セミナー横切る画商黒い絵持ち 塩のボールでドア止め雷雨いずれ雷海 朝焼けが染める腕の真ん中の血液 コンテナ角で立ち遊覧の第二段階 ピンクに雲は騒ぎ動体視からの除外 肉のように洗われ紙空洞に響く 空気吸う家の全ての外が水 ビラで出来ている助産婦…

2011-11-23

十二の輪常々赤く西左 小箱に描画されがちに脱がすハンガーの服 月は欄外に落ち主人公が来た記憶もない 逆光の青年の拍手眼に響く ハ行発する餌食を無辺の床ごとワックス 切手シートを畳から剥がす予兆の襞 父を二度呼ぶ噴火 八咫烏孕む 枕元に月とは違う赤…

2011-10-23

夕日に無地の券薄れて券売機の相対 沼が滴る粘土を孤児形見っぽく抱く まっすぐとは死 病によがるシーツ 星形の贄にわだかまる硬い鍔 死んでなお鳥とわかるまどろみの島 おもちゃの怪人粉々にメロンソーダの川 蜂が眉間に真っ二つに前後左右の未来 科学者ス…

2011-10-05

寝床の壷山吹色の塵を啜る 瀑布浴びる青葉の上辺は艶めく鉄 祖父生きて漂う漆塗りの砂糖 遊びかどうかは風のみぞ知る二階の肉塊 書類の山に雲朽ち絶句と見る馬蹄 柱に不備あり妄りに鯰絵に縋る 折っても愛らしい首じゃのう呵々と能面 爆心に不死の蟻まだ糠を…

2011-09-27

夏に秋を思う根でもなく埋めている 牙と鼻先が檻から見え犬ぐろい闇 脳震盪を泳ぐヨットへ咳き込む医者 三角の井戸金縁に泡を吸い 声帯を穿ち穿ち羽飾りの民 無常に結実する藻へ棒状なる月明 炎上閣下滑走路上の杖笑み潰す 水性マーカープールに消え象るアス…

2011-08-24

吊り橋・斧・人命下のチューリップ太る 虫も霊となる京都では菓子が甘い 回の字のごとく整列を組み込む車体 砂絵に麗しい手の渦巻き歪む鐘楼 カーテンレールから半紙垂らし蛾の射殺 蛍光灯で飛ぶ魔女の股繁華街包む 海一滴たちまち吸う魚の胃剥き出し 天を曇…

2011-08-18

大安吉日少年少女惨歌合唱 生後十年雨を隔ててプードル飼う ぞっとしに来る子等五芒星に散らばる 橋落として水上家屋の臨死を知る 末端無声にして昂らずアラブのサボテン 夢に劣る雪に身を投げ衝撃波 来世まで在る滝の奥に象牙の印鑑 粉から粉へ摩天楼粉降る…

2011-07-15

足さばきの音時雨れてとろける道場 音声詩の韻をスルーアウトする生徒 ねぶりやまずの番ラッパは明日にでも吹く 船墜落する都で鳴いた豚の血襖 琥珀の虫を胸に折るべき億の指 声にならないものはない生きる怨みの強さ 頬をつねるひしゃげたスプーン取り出す…

2011-07-08

夢を茶化す燭台で沈む窓だけの館 寸断された道路に梅の木をコラージュ 犬あやし膏薬の蓋に耽る密林 ディスクの穴連なり在りし日の磁極 ドーム状の空と目を断つ群青の水 縮むバネを恨んで死ぬよ放物線 循環する黒煙きれいな歯軋り左に 杖突く老婆の影重ねに助…

2011-05-29

喝の余韻を黙る老師紙やすりを手に 石室の灰を低める蛾の錯乱 町の轟沈に追い付かず水色の樹を見上げる 紙吹雪手品師の住む星も消す 仮の姉の指す小屋に死別したパルス 王国の同心円としてケーキ 棚また棚蛇の眠りをいただく消灯 闇から抜粋した構造で髪を留…

2011-04-28

一生涯皮膚を小さく閉じる踊り 指す学者の不在へ立てる黒い地形 水底嬲る切り身はひらひらした人魂 回避は先日済みタイムズ・スクエアを去来 噛んでも覚めない浮遊なら床に食器鏤め 陶芸家を引く牛が割るべく見ている壷 斧持って握り潰す絵叩き割る ミサイル…

2011-03-25

女生徒寂しそうにハンマーとそらで口ずさむ 編む指も編む星の冷えた皮膚目指し 数の限りを飛び石に渡る川束携え 暴れる男の手のひら広がっておりまぶしい 魚の泳ぐ別に感情荷台の毛 倒れた耳は水害地区の岩捧げる台 襲名前夜縋り付かれ倒れるギター なまぬる…

2011-02-28

根の異なる枝絡め合う巨体の魂 つぶらな月の満ち欠け見破る終着駅 薄い邂逅重ねて四次元下の長老 鳥籠が匂う机上に無事な椅子 トンネルに帽子が見え帽子しかない 殖える庭園こちらに反り視点の奥空く 里裏の猫に眼を貸す龍の恩 テレビを模した箱は水浸し重く…

2011-02-12

ランタンの前に受精後のカンガルー 再生ボタンは壊れ床に踊る星空 苦境細く銃は長いぐらぐらする首 壁の大穴にバイクを磨く自然の酸 左右異なる奥地に飛礫の当たる音 炉を出る煙に桜は色として残る 先に暮れる苔を老婆の二十歳もちぎる 死がかわいい馬の口か…

2011-01-31

空き地縫い合わせる外科医は茫々と来た 花は無数にぼくの名を知らない畑 金の輪跳ねる内部を無血の鳥白く 深い思慮にブランコ下げまたとない円錐 黄緑の海まっすぐ日はナザレの猫 寝て塵を体に積む水道そのまま かわいい子の旅先に歯車が見える 痛み漂う頭上…

2011-01-21

余の背後に立つ家臣路頭の木その寿命 日没が照らす深海のマネキンの首 Tシャツ満載のワゴン東京湾に沈める 楼閣映すラジカセの錆一つない面 どこも入り口の森であり菌として我々 春薄暗く毛も無く鍾乳洞を女 四畳半ほど恥じらい星空虫籠から 報いとは何を喰…