二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2022-02-19

橋から切れた数珠少しずつピアノを打つ

錆が事象としてわからない虹は書けるのに

拷問と轟音いずれも生の範疇

溜まり場突く接続詞の芯喉から深く

目眩ましから鋭角に開けた農園

いずれダンサー跳ねさすバネ凛として逸脱

歳時記の夏を毟るまた訪うため

ひとりと小鳥は同じだから貫いて良い

使われた忘却炉にぐねぐねの鉄

充填の穴さらけ出す荒野の風

バス発進するたび揺れる首吊り妖精

先に湿る床に移せば魚影の情

容積で話す子供ら舟を沈め

鉄琴の音は近況ありません

ガラスの国で血管飾る挫折として

頁と漢字で書く聳えていくのがわかる

神を干す甘い鞘引き抜けば鮭

牛もくもくしかし地上に牛のすべて

柵コの字に青い空だ問いも逃げたか

道巻いて公民館に奥の部屋

下駄箱雄々しく飲む肉襦袢輝くとき

徐々に広くなる地下道にいずれ窓が

電気スタンドを囲む肉が損なわれて僕

嵩増す邪気をマフラー外して誘う幹

貪るぼくに瘤ある碁盤を添える武勇

天動く復路に忸怩たる剃毛

島の広さに匹敵して突き破る錠剤

引きちぎられた部屋に合金製の椅子

大福切開する画廊に大挙して母胎

土振り払う蛾に根を張る古びたくらげ

昨日のわたしがもしいるならお手玉から声

何を祝うか円くショッピングカート抉れて

画鋲を抜くと雨季のお知らせがひらりひらり

通院するハムを包んで里神楽

排除の形態捉えきれず高原たりうる

桜割り生流し込むバキュームカー

靡く鍵で漕ぐとも見え結界の外

凍る沼に一致を捨てていく書記官

湯にあらゆる沈黙沈む皮膚の国

異境に丸みを帯びた腹這いの友は照らされ

ロシア極東に住む天女のすらりとしたまさかり

走ると土塀が口に入るおかしいのは味

謎一字欠字一字の他何も

引いておく凶のぬめりを引き継ぐ弓

どっちも出口の麦真っ青に洗脳する

チューブに空気を出し入れする覚えてないように

犬置き場に水車が回る豚料理

底を外すと心が抜ける外は雨か

階段ふたつで背後ではない背中を噛んで

錐落ちてフィナーレの死というフィナーレ

盗品のコンロで照らす冬の土

皮下のパースペクティヴは樹上に暮らしている

星の偉大な供物にただ一度の打撃

欄外に書くきれいな未開の噴火

体の両面酒で濡らし一説には川

意味だけ先に死ぬ森の先に息づく箱

麺溢れて脛を冷やす脳裏は大樹

ベッドのカーテンめくらず神父の黒十字

砂漠に痺れ薬を混ぜながら痺れてゆく

包丁平たく埋めて夜風をなだらかに

二進法の神話読み上げる弱者の喉

蛙はすぐ星に蝶番付けて畳む

床のワックス嗅ぐ首輪を外しながら

衣服干す五桁の年号叫びながら

石を洗うと透けていくかまくらの中

舌禍に百のポスターと褪せた婦人従う

客のいない託児所に雨溜めておく

雲に影貸す喜んでいる喜んで

口頭を広げて無事を見せびらかす

歯で砕く地の果てに赤組がいる

広報に行方知れずの動力炉

ビールを濾過して飲むいつかは虎だった者です

グラスに胴ねじ込む小鳥の見た洪水

褐色の霧でタクシー拾う山

火中しきりに朗読する集団ほぐされ

焦がしくすぐる仮面の波今札剥がされ

ビー玉を浮かす口閉じ会釈する

平らげた後の蝶に塗るからし明るい

立ち上るパターン化した霊長類

樹齢を買った印に赤いイルミネーション

寸劇の客船役は死後現る

コーンの缶詰きれいもう何もしなくていいのね

トラックまるごと落ちていく回りくどい表皮に

幻滅にゆっくり凍る声の主

ワープの出口に卑怯者の口選ばれる

縁側向かい合う自壊するほど強く

円卓を磨く左折を繰り返し

血潮に赤も青もあり信号機壊す

オーロラで溶けた小屋パンに塗って焼く

恩寵の淵に呪詛繰るシュレッダー

四つ脚の店主よく鳴く面を拭く

夜を見て泡突き立てる御意の形

単語的にあるだけの意識パン裏返す

閉じた口の中は卵に似て苦い

階段折れており木を接ぐ煙に従い

僕ら食用であり断面という粗大な屋上

球を通じ生首が否定するデジャヴ

器物組んで文脈破る風見台

情と情絡む下肢伝いくどい笞刑

千切れば立つ匂いに映す同じ草