二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2020-08-02

有機的な喝采に威光刈り尽くす

歯ブラシ突っ込む立法府から金切り声

長雨を帝幽かに綱渡り

密林をサラダと呼ぶ発光体分裂

痣に戻る塩を照らすヒリヒリする明かり

庭に秩序の赤く香る姿を濡らして

受光の束が脳に触れてピーナッツ吐く

ピラフ一粒神隠しの如く盛り付け

ゴルファーから姿勢を抜き国道に足す

火柱また太くなる月の入り口見せて

絡む形を残し髪の毛以外は墓地

ここら広大無辺のゴールで水も流れる

踏み外すに細い犬の燃え立つをして

偽書奇書の類い飼う声として図書館

鉄骨麗しい草花の餌にするには

振り子振り回すものでなく部屋は山吹

洞窟薄く皺を吐く辞めたはずの街へ

都会と思う地形も録音も途切れて

喉の奥に歯を感じ熱い息を浴びる

蛙の腹から燦々とバール取り出す

退化して庭の上から庭揺する

麦藁帽めくると暗唱ばかり

疑い甘く炊かれ消印はブーツに押す

銀賞の清書に慕うべき狂気

野菜焼かれてラジオから断面の話

街と遊ぶ約束してまず噴水割る

地続きを捨て森はゆき香るばかり

四方に影垂らす尾のまま獣螺旋

ホルンは砂と崩れ空室に五トンの私

金串に人肌が伝わる深さ

山閉じる十の位の次は真空

夜である限りは中身を拒む鳥

犬が泳ぐ先へトタンの屋根巡らす

脳裏がサクサクして断面見せびらかす紐たち

上下の半身失えば海への道となる

人は財を牛は名を捨て暑い祭り

透明も穴であり続ければ管

車輪のない聖なる木を六頭立てに

目に両性具有して塚の首を掘る

地に刺す馬蹄長い男が短く来る

「呪うてくだあ」とババが呻く草刈りしながら

擂り鉢に枯渇し続ける人喰い縞

手首押さえても手は咲いてしまう監視下

看取った子供と知恵の輪で繋がれている

重力に海は知性を眠らせる

客は呼吸する半年に被せたラッパ

皮膚繋がりの友よ曙に毛を溜め嘆くか

工場出荷時の暮らしに石版が匂う

赤青パターン化された意思未確定の脳坑

茅葺きの熱源を入れて出す確かさ

記憶繋ぐと古銭犇めく亀裂になる

日の入りをいくら図表にしても舐める

座布団囲む一座に麦溶けていく調べ

塗料寄せて堆く同類を忘れる

香りが透明を捨てぼくの順番が来る

母性より奥に棲む鳥鍵閉める

この世に尊い行き止まりを糠から取り出す

朝焼けに焦がれるものは砂利ばかり

鳩の孤独炎天に絞られて厳密

菌の歌で清めるそばから黒い乙女

ビルを噛む土の弱さに不正な月

ジャムに根付く血管まだマントは背丈に

石造りの爆竹倉庫に修羅名ばかり

石が離れていく手から象の憂いから

拒否に巨石群は酔い半径失う

間欠泉時々論吹き上げ午睡

弱火を見ているぼくもこんな雑兵だった

サイレン何気なく鳴る旗と遊びたい

飾るもよし黒ずむ行為の木はぶつ切り

座らずいる英霊の昔蜂の巣から

耳を塞げば動物園は息の曼荼羅

二階の存在信じるべき泡垂れてくる

乙女は差出人不明に憧れて折り鶴

コヨーテ自覚もなく犯されコピー機の光

たかいたかいして割る砂時計から一瞥

幽霊船の内角の和を踏み外す

鳩が来てチタンの浮き世に熱視線

遅れて光る羊歯泉は凹面に攫われ

道は一切の金槌捨て磁力で進むか

とぐろ巻く皮膚を母に持つ朱色の鞭

カードに書かれた運命ごと轢く乳母車

斧に触れて一番の熱山に没する

しっくりくる生き証人を入れた箱

悪い悦を垂らす静かな簾として

水没したテレビにきれいな魚括る

面積の大きい夢に犬ひとつ

大辞典の全ページに冷凍刑執行

棄権後ゴールで待つ移植部位捧げ持ち

明け方の路上に溺れているドリル

カステラ無尽蔵に出る有頂天というからくり

流浪の深手を引き伸ばして木魚の中へ

抜け殻に絶叫詰めてぼくが飛ぶ

謎につけて己たちの晩餐へ果樹

「いつか」は常に「いつか」港から根底へ足

霜広がる仮眠を頭から下ろす

仮定は複数行土偶に刻まれた話者

流氷の構成要素はすべて縫い目

星が照らす自らの穴の奥縮む

黒一色の小説に身を包む鯰

朝昼泥と晩の姿滴りまた朝