二乗千年

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2012-01-01から1年間の記事一覧

2012-12-31

落差は落下すべき消毒喪失感 銀の砂漠は人の目に皮膚呼吸して 円柱から葉巻飛ぶとき窓隠す 水流に石置く仮も仮に雹 夢の薮が薬の足りない不安であれ 名を伏せる子供だから内臓も光る 開店促す亀裂垂れ下がり足りず爆縮 鎖じゃらじゃらマダムら体中で強盗 毒…

2012-12-30

虚空は稀なるデリカシーより黒く凪ぐ テキストデータのモノクロを勤めに冬の木 楽譜捨てた浦にせり出す前頭葉 見下す雪の融点をヘリ墜落して 正直な四角の裏も表も空気 塹壕に漆重ねて息となす 声特有の振動だ仮装して雪に ホットケーキから掛け軸垂れ下がり…

2012-12-29

隣の同室に稲妻かねてからの問い 骨山積みにビル削り出しそこへテーマソング 花弱り直交保つヒステリー 苦慮欲しがる目で藁の束抱くフリする 花びらのない真ん中という嘆き 修羅の梢が鳴る天秤にかかるべく 孤軍の将若かりし台へ靄ばかり ぴったり部屋に未使…

2012-12-12

鳥よ鳥ならば鳥らしく羽撃くことも出来るのか 愚かな鉄は綺麗だ廃墟においては負 電卓は足す老人のいない日々 禁句に満ちた広場を焼きにやってくる午後 雪に悶える風鈴が待っている刑期 窓に懐く明かり二手に死期爛々 生活不変を鏡に企む生き灯籠 休み休み救…

2012-10-11

蛾に見えるまで点を打つ男の羽根 凸として祭壇視野に受動立体 フードふたつ積もると流れてしまう星 湖面を破るとは悲しみを呼ぶ薬缶 網膜状にバクテリア殖えて花粉飛来 場を退く児童は優しくない 宙返りをきめる 無人のテントへ刀鍛冶もう輝いて 牛が運ぶ腕…

2012-09-27

約百人身じろぐまばたきもせずに 断崖絶壁穿つ大広間クレーンで吊るされ チケットに青い柵書く夢の果て 爆弾爆発して白米を噛み締める 手拍子乾くカフェ光を飼う欠字の中 水槽の真珠は蝶をはぐらかす 廃品のガラスの外で飴舐める 砂漠の空に棲む鳥ボタンで留…

2012-08-31

老獪なる探偵立ったまま笑う 柩に塗る青と青空の血は違う 桐の箱にイルカが入っている危機感 苦笑錆び付くドアようこそ砕けた果実へ 鳩を計る定規を押し割ってSL 放物線のエコー比で光る脳の模型 木製の嗚咽からガソリン出る管 部屋の隅に木材集中する海か…

2012-08-24

山鳴りに滅法強い頭数 嘆きで燻す版画また炭坑夫が死ぬ 泥で固まる川に翳してもコップは紙 ミジンコの明るみに刺す正座の膝 婚前に多重四角のS極撃つ 黒目は重力紺の火紺のノイズを映す 留守を預かるチョコレート一個噛みに行こう 刻んだネギを持ちまた自然…

2012-08-14

馬肉に錆移す杭残しゲート沈黙 山脈の脈が蛙に孤独死する 根絶の物質感がプールの青 歴代が立ちこめる部屋縦に割る うかうかとロールケーキが町外れ オペラの客は全てクリーム色の車 東京ドームへ『ホームズ最後のあいさつ』開く 暗殺から印刷へ黒い犬の形容…

2012-05-31

主語のシャッターでねじ切るホワイトアスパラガス 街の灯へ布団にナッツ詰めて向かう 王墓は金・無形にて辺を手錠にとる お見舞いのメロンを包み込む地裁 夜景が会議の皆さんの頬を右回りに打つ 湯でいずれ錆びる鈴お遊戯に分け入る 二拠点同時にドーナツ化…

2012-05-30

舌濁らす稀な水位に閉じゆく扇 お化けの見えている目の丸い舟が次々 胎動する丘陵とリスをこじつける梅 都市の絵二点の間にバーコードのバー孤立 胸に突如広がる潔白北極より 窓とカーテン別々に谷の両端に 空腹の色味はレントゲン写真 チェーンソーのそばに…

2012-04-24

綱洗う音に紛れて荒い息 泥回る相対的に亀の首 ヒヒ赤茶けてゆくカレーの具になるべく 五女に生まれ放課後にドーナツを焚く アラビア数字の二十七が幻に見える 未定義のギザギザと乗る青電車 じゃがいもの栄養と住むエピソード 質草の箱捨て駒で蒸し返す 鯰…

2012-04-18

蕪という図形が黙るほど嫌い 閻魔の表示が小川でずれている夕日 蟹は仰ぐ地底の春を満たす南 太古のオーロラの記憶で瓶詰め炙る 主婦ぼんやり取り憑く耳裏汽車から見えず 磁石を背中に乗せ四つん這いに石鹸守る 熱い射精を浴びたカラスの重さよ街灯 苦しいこ…

2012-02-29

ヤと言えばヤと息つく家潰れていく 帽子を取れ世界だおはよう帽子以外の世界 持て余す球体を書記雨に放つ 雪を白くする墨の量地割れより 大きい男の肋骨に煙くぐらせ物見 店長いる銭の上に蝋を垂らして 灰をかぶる杏仁豆腐の薄明かり 弁天様弁天様ヤニ吸う信…

2012-02-23

見れば見るほど束にしたくなかった花だ 無言ではしゃぐ役者の頭上にちぎれた草 叩けば窓の罅も沈み月が出るだろうか 塀を占める猫の毛並みに北極星 同胞の死に一礼メッセンジャー失踪 教育という鳴き声が名となる沼 人家に眼光灯る夜の支配者フクロウ 貼り紙…

2012-01-30

ぬいぐるみ踏む密室に呼吸貯め 噴煙に緑のマグネットの停止 童話のロマの死の藁に開く双子の目 狼の味確かめる夜の霧 瓦礫満載してロープウェイ知られに行く 漆器は黄泉の対にてしくしく牛乳注ぐ 二世帯住宅から生身ぬっと出る祝日 ハサミの向こう側に木登り…

2012-01-27

薬物が見せる実揺れ七月死にがち 熾烈を極める右折詩集が音貸すほど 平日へドッと歓喜の段ボール 繭汚れてカサカサ鳴るネジ穴のそば 朝に輝く槍密偵を刺し貫く 箱に白いブーツが入っていて絵本 標本の時間ゆうらと曙光香る 柱ほぐれて三つ編みに梵我の音信 …