二乗千年

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2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2009-01-29

モーター持ち冷めるオルガンの上に立つ 抽き出し全部引くと見知らぬ同胞になる 擦れ合う腿に実にしっくりと牛乳配達 鯨の胃に映る蝶らの鱗粉浴びて 沈没して風送る船前世は花 待合室の患者ら白紙を縦に持つ 誰かが足埋めるまで生えているとせず 鉛寄せて球体…

2009-01-16

緑のシートの下は滝壺徐々に擦れ ビル吹き抜ける舌雲泥までしならせ はにかむ古稀パンをちぎってさらわれる 歯車回り孤独な調達に錆散る 脳が引力を知るときは床に落ちている 銃声を取り囲む焦げ臭い蟻 馬の脚の一本は木たてがみに果実 砂利吐いて尾鰭背鰭が…

2009-01-15

溺れるそばの藁霞ませる病臥の咳 今後数名は街のない宿に身をくべる 炎天なんの肉か薄利の語感に引っ掛け 今後の癪にサンダルまでが距離の波 塁濁り旧の字を振られる湖 目の粗い布靡くかガラスの重り 日はピン突き動かされ少しずつ狂う時計 団地まで霞みニキ…

2009-01-10

服役する鼓動枯れゆく木も打たせて 泥分けてまで咲く花の根を手に束ねる ハンマー抉れている柄に横たわりに来る小熊 無言電話と無言で通じ合う朝靄 水の名を吸うため今名ばかりの蝶 すべてもげた平地から指差されている 新しい樫を逃げ膨らむ記憶の陰 漂う笹…

2009-01-07

水際と密になりたい麦携え 老婆の笑う腹が泥濘の孕む余地 完全ならばサボテンに話しかけたりしない 苛むと知るまで瓶はガラスのまま ジグソーパズルからカモメ抜き穴が飛んでいる 廊下の冷たさとは乞うほど台所の明かり 帯刀して風のままに暖簾を裂く音 白剥…

2009-01-04

見透かされてくるぶし浮く神殿押し上げ 穴と信じて歩く淵ノイローゼと並ぶ 燃えては喝采となり支流をこらえ切れぬ桶 半身に寄り添う傘と震え分かつ 教会の屋根にさみしい子の牛乳 もう食べたガチョウに岸を縫い付ける 見つめ続けた色で滑り緩慢な居住 墓守の…

2009-01-03

花一輪が中枢遥かな草原北へ 溺れる蝶降ると表すこともできる 呼吸でふくらむ毛布から不代の溜め息 もしやと言わず何も知らず今日とは思わず 川涸れてやむなく谷折りされた紙 うつむきがましい花本に無地となるまで挟む 津波来るちょうど呼吸に疲れた頃 航路…

2009-01-02

肉薄とは死魚の尾を引き里がる少女 馬の背半ば抱く砂静かに咳き込む夕べ グラウンドに収まる四角い私物に乗る 海越え山越えまた海 スリッパにも突起 力尽きて倒れる痙攣を虫の行路に許す 朽ちて灰となり眺めるひとひとりの容積 休みの廊下に直立する子の影押…

2009-01-01

病んだ砂地の青い館もう一縷の曇り 隠した片目の手の甲から羊が逃げていく 泣くまでの沈黙で木琴踏み割る 茎点々と結ぶ忘れた忘れてない忘れた 日が落ちて倉庫にもたらされた音読 晴れて港は静か蜥蜴の五肢を吊る 期待しないでほしい蛸は話せない波紋 封緘か…