二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2021-01-23

砂のそばで砂粒ほどの犬を拾う

尊さが降らす雪なのか肉を揺らすのは

静かなパン豊かな時代に押して開く

エビの夢は常に絶望の十三支

爛れている群れは鳥の孤独に遠く

女のシャツは生け捕りに怖い乳房を吸う

霧に縛られ等距離だから等価なぼくら

煙草から泡が出るメルヘンの内圧

胃に穴開けて豪邸ねじ込む黒い地球

階下を所蔵するゲル吐く濁った水田

恐竜図鑑で内側からランドセルを壊す

凍った鳥に降る雪は古代種の緑

夕焼けのぼくは水槽動かれず

石碑の中で風化の音聞く昔の文字

壺への移植穏やかにダシ流し込む

語り部の骨にキスするムカデの姉

百合をほどき気を確かにする奥様

危の字の車を点Aに取る信号点滅

地脈よ聞きに来い土と混ざらんばかりの歯軋り

アーチを組む途中の気体が今も胸に

赤い罫線がはっきり見え入り口もある

虫を殺しぼくはコーヒーに雨を注ぐ

メニューはチャーハンばかり動く泥みたいな店主

重ねた網の下段で運がいい排水

解説の折り目を読む目の後ろまで

失踪事件の貼り紙はる冷たい煙突

手を開けば滑り台を鳴かせる力

全粒粉の島絶海を隠し持つ

古墳に鉄流し込むバケツで窓から

コップに紳士服を詰める休憩は長い

輪の始点と終点は同じ老女がいる

発信機を飲む死角に鮮やかな村

声みたいにお湯を溜める身の程である

広大な逃げ場の裏表は同じ

ネックレスの内側太く満たす宇宙

いつも色が違うポスターに常習者

自然は人間よりチョコレートを愛する工場

知らず峠は磨かれそそり立つピストル

ぼくの冷蔵庫であるとき病院たれ食感

決闘に犬連れて行く憂鬱で

同類一瞬じぶんでありミントのガム噛む

装飾に長い直立蔓延らず

解けた洗脳剥き出しに売られフォアグラの横

島の中心の土食う予兆の深さまで

ノックで風鈴叩き割る午後に激しく線

水族館の水の量考え頭でっかち

塗りたくられ見えずスコープは浪漫の虜

電気の沼がぬるくて赤い転送エラー

否定は確かな味を持つ意味より先に

波紋の平面ブレて囲む消せない記憶

彫像逆立てるブラシ叫びにも似て咥える

戦士の首に崇高なリボン生きて結ぶ

洗剤の箱は野晒しの咎の駅

蛙の見た世界であるべくスポンジ折る

祠は潤う顎のいくつ投棄された幻

村から村へしんと静まり返る国道

額縁の外限りなく広がる皮膚

曙光空洞説螺旋に過ぎ仕組まれている

藁人形に砂漠は底なしの固体

塗装されたピザの脈を電話越しに取る

屋根より高く拿捕されてクジラの中で

鉄と女人の意志入れ替えて念仏聞く

囀りにメガネを拭くセキュリティーの死

疲れたポスター千々にひとりでに我が意の如くに

忘我の念出窓明らかに出て潰す

横断幕の増長が窓破る雨後

地上に柱盛り沢山神経症ですから

水中みたいな朝焼け含むべく大口

バケツ並べる音近付く航空便で

アトランティスの役所で所在なくくの字に

光り輝く農夫を裏返すデバイス

長く冷たい土管凍結の音響かす

長い海を渡れば花が怒り狂っていた

透明だから多数出す脚の移動は捨てられ

蜜滴る戦闘機内にお辞儀の嵐

霊感突如冴えシュークリーム異様に膨らむ

お化けみたいにだらりとメガロポリスへ手を

適量でもウサギと自我ぴょんぴょん跳ねる

鳥さん静かにしてねすぐ硬くなる男根

坂が水平に動くただ置いてあるだけの家に

前略のある世界に燃え尽きた花火

急に善と置き換えた冷蔵庫が動かない

上空から鉄の味降る赤い塔

木の股に未婚者のくぐる浮き輪がある

訂正され夜が来ず×印の痣

異常な底を引き抜くと回転する人間

老婆の耳ピンクに注入する河口

怪人の腐乱を飾る白テント

不在に揺れる紐静かにひまわり畑

巡回止まず肉汁を浴び続けるコップ

サーカス団下山燃え盛る火の輪を残し

海は広いと聞いていたが眼球だった

カーテン越しに千人いて一斉にいる

気がかりを鵺に置き換え録画する

太った茄子を切り開く何か言うかと思って

オブラートの味だけが胸を打つ悲しみ

帯ぬくい銀の液をほどよく吸って

朝を仕組みとして認めず爽やかな永眠

滝がリモコンみたいで指を捨ててしまう

想像の産物が来て「くれ」と言う