二乗千年

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2013-01-01から1年間の記事一覧

2013-12-25

鳥よ恋人よ領地に反響は消えゆく 山鳴りを山の誤報と知って聞く 茶番でひときわ胴体目立たす裸の木 乙女の半身は語感運動せず散りゆく 窓越しの己である闇服しとしと 不気味な蝶をぼくの懐へ逃がす 錬金術師を遊ぶ帰り道光の洪水 ドーベルマンなぜ悲しい液体…

2013-12-11

老人熊手を持ち見つめている時空の断裂 老師去る尻の熱に中庭を残し 荒涼とした農地に清潔にハンバーガー ドアはもちろん建築中の橋脚も飲む 雨の遠くのベランダに常に旬の未亡人 一点を見つめてそこに行く百人 湯を割いて黒く中東の犬を編む ゲラゲラ笑うひ…

2013-11-10

杞憂の舌は濡れている土に銀貨を積み 苛烈な淑女の波水鳥は注ぐ形に 乱暴の効能貼る夜から夜への脱皮 無理の背中は大きい明るい想定が来て押す 彼奴め鉄条網を呼んだぞ妻の眼光る 踏み外す不滅の荒々しいはねを TVを秘めた箱から手紙が溢れ出る 鉄とは差し当…

2013-10-14

汝らのジラの発音からキリン 窓にキャンディーの渦模様映画広告で隠す 水槽に水晶詰めて部屋の電気 拳銃冷たく濡れている月だった塵に 融けた写真を川と呼ぶはずその頃のぼく 開口部がなくても壷かテレポート 首長族を落ちるイヤリング夜に間に合わず 足跡濃…

2013-09-29

猿が近いという声が空き家の床から 非力に細くしておく棒たやすく水星 古都に女郎を切り抜いた和紙が宇宙であるとか 事務所鋭く四辺形として夏の空気 狡猾なのはもたらすからスコープを覗く 地球を嵌めるパラボラアンテナ攻めあぐねる 空気まっすぐ冷えてま…

2013-09-23

チリの酒場にどうせ見えない月ならば 多ければ多いほど手鞠名を追いやる 星空を振り乱すとき首飾り 隔離が美しく響くミサイルの弾頭 未熟な庭に坊主が肉を焼いておる 腕検査する雷光に頼まれて うとうとと宿主が胡桃割るリズム 愛を成す母音が閃きを苛む 滑…

2013-08-23

風上の牛乳を心臓で割る 清酒のタンクに鈍い光その自分らしさ たまねぎ一塊訓練剥ぎ訓練剥ぎホール 早退して午前の砂がよく見える 蝋の痣を席に移すと怖い顔 戦いなどどこにもないきのこ震えている 咳ひとつ遠い昔のテレパシー 憂いと書いて捨てる短冊に冬の…

2013-07-27

防音のビル厳かにフタを置く 靴片方忘れた手で鉄持つ冷たい 樽に朝日が射す穴を孤独と呼べない 山ほどに熊を焼くべく遅く寝る 岸壁は根付かず長い左右の夢 やりきれない吐血の絵に海押して嵌め込む 馬車馬は病死した札束と十字架を残して 爪と家を換えて女は…

2013-07-12

十字路を設けて砂漠なぐさめる 普通誰と呼ばぬカボチャの種を食べる 樫の木溶かしたからもう目印ないよと姉 宇宙は宇宙として百年後の麦を見ていた 行と万人が圧すこめかみ地上が見えない ファン掻き回す肖像画前の故人の溜め息 王駆け寄る笊持って空の笊の…

2013-06-30

落ち込む先に他人の足凍りつつ濁る 窓越しに滞空する雲揉まれている 窮地がしっとりしている空模様だ筆置く 波紋四方からコルク締め上げ平穏な海へ 暮れた真四角は密集した魔神の臓器 ランドセル息が足りないあたりに置く 栗羊羹めくる薄手のセーター寒色 薄…

2013-05-30

スカートたくし上げた脛に江戸期のコズミック 住所不定の肋骨回送車両で漱ぐ 時雨迸るばかり枕の下の痛覚 氷のように人格者よ踏め難民キャンプ 十も百も橋川辺のコンテナに架かる 肥満児町の真ん中に町を孕み返す まだ広いスリッパに石置くさっき 消えた日・…

2013-05-20

喝采華美に飾るドレス五階の吹き抜けまで 来る日も来る日も蟹食い住んで白い家 底なしの空潤ませ麻痺するレイヨウ 馬の跳ねた夕べを巨鳥吸わんと没する 体操選手の肉体に射す架線の影 幽霊の穴は寝姿に四肢を持つ 顔面に樹脂かけて帰らない子等 半ズボンから…

2013-04-14

魚模様に響く頭痛の雅な古都 属す過去に召されて太極拳で塞ぐ 次の日に録ったじぶんの声と住む 肉に触るひと妊娠して席が空く 朽ちゆくものに浮力を洞窟いっぱいの恋 真緑に燻る舞踏の見えざる足 台形に性剥き出しの近さ研ぐ 赤いペンキがバケツから航空機へ…

2013-04-02

戦線に情念図示すべからざる形で 体裁は液よろしくて金具吊るす 声で揺れる近未来のわたしとしたことが 目に差し迫る草の香り花魁を手にかける 死者そぞろに立つ山が増えて秋祭り 枕の数を頼みに嬲る岩場の舟 砂集めてライフル縦に午後弔う 現実ブルーシート…

2013-03-07

佳境の畑に空気穴開け碁石の旅 問いに野うさぎ紛れ込む波鉛に染め 乾電池を袖に通して今年病む 年々黒ずむ如雨露よく笑う老婆がいた 統計を外れた目の数暮らしを見る 揉み合う刑監視塔のアラーム鳴るまで 薬の木を離れたくなく前世にする コアラの腹銀のチュ…

2013-02-23

怯える鳥の渦を笑う口に入っていく 進化を重ねたひと見知らぬ祖母になり会釈 人口減ると軋むステンレスの水田 ブルドーザー眩しくて滝を出てみたくなる 平均体重分のステッカー血の上に貼る 虚空の理容師客の入ったズタを曳く 犬の憩いただある無心にある凹…