二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2019-03-03

列を乱す茄子に無用の唾を飲む

馴染む空と道に噛まれ老一点自答

絞られて水に閃く闘牛士

机にも下があった今は野にある

石飼いの倅の爪ばかりよ布団の山

語り部に鍋繋ぐ砂漠までの鎖

拉致に揺れる風鈴を天袋は病む

天の天たる量黄も然り機神起動

陶器の壁に鈍く息漂わす帝

フフと昨今冷ます玉ねぎの熱っぽい自我

味噌と淫らな衝突を騎士それも叙勲

真意のなか幹たくましく浮き輪嵌められ

瞳孔の樹脂で再び森を瞑る

エリザ朝へ自販機ヴーンと遡る

均衡を蛙に取れば止む命

散々に霰犇めくトートロジー

兵雇われ苦いと感じる火口の城

逆さに持てば墨垂れる絵の美しい渋滞

なお杖の詳細は追って伝えるジャジー

己を轢く都内地下空洞の容積

指こめかみに立ていなくなる武人の妻

天ひときわ高く光る天文台

草を食む野うさぎの裏腹は団地

墓地すれすれにジャージ脱ぎ捨てられ抗菌

水曜十時に惑う自作の牛の午後

乙女の肩に川嬲られ手に騎乗録

図表は石鹸を包んだ食人の島で

草原の黒さにハッとしたまま飛ぶ

釜茹でにレストランから十字光

踊ればふたつ此岸ひとつに劣り出す

刑に塗れた首そのまま苗落とす侍従

聖剣おんぶして篝火谷越す村娘

花揺れるまたの名をブラフマーストラ

流砂を吸う井戸の真上に怨みの玉

視床下部を占めるゴム・鉄・ガラスの一座

舌じゃぶじゃぶ洗う海が甘くて無心に

円卓に張り裂けた胸の恋飾る

式のように外へ断髪を招くコブラ

静かな部屋にチーズが辛い明日が来る

日を細め肉の話を引く扉

長い髪からドサリと鉄軽んじ合いましょう

夢に膝だけを見て知る曲げ伸ばし

たけなわの小皿に阿片漬けの沢庵

結合の意味塞ぎよく笑う嬰児

辻に立つ青って真っ青な罪でしょ

終始鳥であった花壇への羽根の刺しぶり

毛のように納屋から抜かれ口笛吹く

靴縛られ複雑な痕が付く黄昏

底無しの盲導天に橇捨てる

金品の影数多に漢字の発生

次も同じ樹脂の滝見る記憶の旅

個室にメリーゴーラウンド炸裂する疫学

長靴立つひとあるべきはダムの音

号令も遡る銀の垂直を

客は命にぶら下げて犬小屋に棲む罅

ぼくはお前らが嫌いな首肯を続けている

近眼の胸借りて果てよ密告者

爆弾みたいな夕べに竹編む老婆の美

里散る里の限りある一膳のかたち

祖霊潜む霧深い臓腑から叫ぶ

昨日を焼く火中の栗も水を湛え

前例を見よ低い列成す職員ら

未来と名付けた植物すぐ根の他方で覚め

トランクの護符艶めく王殺しの派生

四輪の太い柱で桜打つ

饒舌が覗く賽銭箱の次元

ガラスのドームに干物されるがまま靡かず

踊る手足の鞭持ち牛歩かせる歌

クリオネへの愛を砂に打ち続ける鍛冶屋

看板横から見る中世騎士等しく行く

新緑のカマキリ剥けて遠近法

涅槃の桃薄目を塞ぐ小川に冷え

地図のパズル一枚ずつ真下の海開き

装置の意味は手のひらを逆さに取り付ける

小麦粉倉庫サクサク後頭部でほぐされ

喉から手が出て邪魔を掴む全ては枝

毛があり出口のない筒から足出す

絶句とは程遠い壁だ街は溶けて

輪切りの牛に隙あり多湿にして笑止

ビターな死体トランプ裏返すと消失

妙な発音飛ぶ鳥の跡を騒ぎ続け

洲と洲にいて祖母の味するパスタ開く

一切れが持つ億の結び目に鼓動

痛みを伴う風は初夏に紅蓮に吹く

不文律暗く縫うべし豚と茄子

針の形を思う断面に砂漠の空

肉付けに飽きて兜を転がす雲

地の果てに稲穂が火を焼き返す実り

脆い森の庵で解く魔神樹脂説

ブランコが喪失の弧を描く町

ヘリの真下大気に触れる懐手

人口開くすべてをおいしそうと饅頭

雷に透ける服・呪詛一覧・皮膚

兵逃がせばウシガエルの体内で鳴く

ズブリと立つ妖気にランタン下げる下駄

田にアメーバ書く千回誰と問いつつ

轢かれた司書へ徐々に満たされるコップ点々と

屋根散って降る優しい目に飢餓蓄え

ポシェットからステッキ飛び出す主軸として

東洋の銀河は発酵した生体