蕪という図形が黙るほど嫌い
閻魔の表示が小川でずれている夕日
蟹は仰ぐ地底の春を満たす南
太古のオーロラの記憶で瓶詰め炙る
主婦ぼんやり取り憑く耳裏汽車から見えず
磁石を背中に乗せ四つん這いに石鹸守る
熱い射精を浴びたカラスの重さよ街灯
苦しいこれが息だなんて水玉の樹海
模造紙の真ん中破り見過ごすバス
見知らぬ娘に転換して眠さで腕汚す
赦されて気球がポツンと真昼の谷
事実無力木こりは見る果てしなく見る
土ずれて味わう事故があり豆まき
コントローラー手にこちら見る善意の少年
靴下放り出すリビングの淡い実爆ぜ
送り出す籠の印はかわいい粉
平和を説き卵は馬車で潰す御者
食い晒しにときめく葉を射す光線の檻
ねじれて頭上が夜道にオオカミ絶えている
流砂の面を滴り骨の層へ涙