2012-12-30
虚空は稀なるデリカシーより黒く凪ぐ
テキストデータのモノクロを勤めに冬の木
楽譜捨てた浦にせり出す前頭葉
見下す雪の融点をヘリ墜落して
正直な四角の裏も表も空気
塹壕に漆重ねて息となす
声特有の振動だ仮装して雪に
ホットケーキから掛け軸垂れ下がり地上
毛羽立つ廊下に裏差し迫る皮膚の宴
自転車倒して小鳥さえずる重工業
停電になると舞うレジから見た濾紙
筒閉じる都度恨めしく氷砂糖
橋で調印する空気なみなみと不明
視界はプラズマ直線上のベル鳴らす
笛吹きの彷徨う果てにネジ巻く岬
(ここから2011年)
印刷店を縦に試験管トレーまさぐる
懺悔室の容積を曇る車に運ぶ
アイスに刺さっている棒へ頭割って輸血
獣道に鏡立つ家組み損なう
ワープロ囲む壁の四方に彼女の型紙