2012-08-14
馬肉に錆移す杭残しゲート沈黙
山脈の脈が蛙に孤独死する
根絶の物質感がプールの青
歴代が立ちこめる部屋縦に割る
うかうかとロールケーキが町外れ
オペラの客は全てクリーム色の車
東京ドームへ『ホームズ最後のあいさつ』開く
暗殺から印刷へ黒い犬の形容
夜道はあどけなくきわどさを電飾で縛る
呼吸だけの朗読聞こえてきて就寝
木々のうちの木よ集落に黄として散れ
鳥居目がけて金棒を置く暴風域
小石の壁に阻まれる四方奇声だらけ
名札の余白にうららかなれ転がるキャベツ
晴れの舞台に慕情明るく生肉吊る
針と同じ直径の輪を凍らせない
酒場から漏れる明かり風の水銀
猥雑な臓器持つ月地続きに日
寒がるとき焦点の傷として少女
この世にたどたどしくあれと古木しゃぶれば甘い