二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2012-02-29

ヤと言えばヤと息つく家潰れていく

帽子を取れ世界だおはよう帽子以外の世界

持て余す球体を書記雨に放つ

雪を白くする墨の量地割れより

大きい男の肋骨に煙くぐらせ物見

店長いる銭の上に蝋を垂らして

灰をかぶる杏仁豆腐の薄明かり

弁天様弁天様ヤニ吸う信者のお通り

視野満ちてもう断線する蔦の枯れ

独裁の蒸気噴き出すパイプが兄

人の形をした製氷皿からスキューバ

クレヨン押し潰し書く菫色の蜥蜴

池は長い呪詛ほど小坊主泣きじゃくる

釣り鐘をめくると胸を潰す釣り鐘

解体初期のビル既に鳥居鬱蒼とし

衰退した液の駅に光りつつ着く

味噌汁の湯気に白髪は隠し持つ

更けやすく鴨に冷たい橇の底

擦り合うゴムから先に味するハイヒール

茨ぶらりと瘴気に垂れ閉まらない戸