2013-12-11
老人熊手を持ち見つめている時空の断裂
老師去る尻の熱に中庭を残し
荒涼とした農地に清潔にハンバーガー
ドアはもちろん建築中の橋脚も飲む
雨の遠くのベランダに常に旬の未亡人
一点を見つめてそこに行く百人
湯を割いて黒く中東の犬を編む
ゲラゲラ笑うひと乗せ落ちてゆくエレベーター
失せた女郎峠で数え歌を億まで
蝶がいずれ月を食えたとしても誰
星が見えるとは水平な生の独り言
蝋のそばで空気に溶ける従姉妹の脳
ケーキ屋を遠目に光る茨の芯
肌五周する駝鳥抱きとめる霧
童話の沼に文言捨てて銀の星
路頭が不意に首を持つとき缺字浮く
桜・葉桜負傷の入り乱れ方子等よ
働く手をモニターが映し真珠の倍
異国で暮らされても耐えた歌は路上そのもの
異人の首がない像五月の風情が落ちて