二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2015-02-03

異端の花粉は金属めく人から小人にかけ

酔いはしたが巡る季節に戻さずこの身

喜びは束の間 嘆くように足を振るトラウマ

黎明の露台を指す行為を乗せる

褐色の回廊皮膚となる血の革命

この赤脈々と這い上がる枯れ木の影部屋まで

物置のカスタネットは降ってきた

ナス切る窓に映るビーカーへ下半分

あるかもわからない心臓の位置に青いワッペン

肉は着ぶくれの中へしぐれて電飾豊か

屠りの目地に立つのだろう燭台軋まず

譲るべき夢の脂に多指疼く

舌ばかり美しく鳥萌え且つ燃え

今宵霊感気高く百獣食い散らかす

何か言えば麺を削る壁を囲んで

欠落の意味を辞典に頼り留守

息が帰ってきた寿司屋のバラバラの女房

うどんぶちまけ雲でなければ何になりたい

手の甲から腕蒼白に血を拒む

呼ぶ声の牙城深く降雪する森

歌を知らぬ男たち肉を炙っている

陽光ねばつき踏み抜く足を接着する

噛み痕のある少女は激情を放つ

クルミの中は闇 手に包まれて暮れる

ビル街に卑劣な風船込み上げる

生き続けるべく小人らを翻す

引き出しが開くように通り魔は紫

頭部突き出す巨大な手裏剣じみて棉

蜜袋に浮かされてひとり枯れ木を揺する

図の国に寒流捧ぐ爪の肉

剥いた栗だよ運ぶよ我々は老婆だ

畳匂う空き家にトンカチでしてしまう

余地の一寸先でドアがめり込み始める

(ここから2012年)

脳を与えてしまう強くもないサソリに

水が水を誘う不穏に他者よだつ

男子のきれいな沢に接点はオルゴール

村人の骨にトロフィー当たる過疎

金粉拐う物陰の手の長い女

パンと放電して消えるエイすきま風

不実の庭に誰一人凝固せず歴史

蛇縛る紐ぬくい星も照らされる

泉が湧くまで金貨の重みで掘るしかない

野菜に線を引こうもうノートは真っ暗闇だ

意思を持たぬ人らが灯油を継ぎ足していく

火を旋回する鳥描画され網膜

模型静かに崩れて夕べはよく眠れた

青春のみ死んで我が肉・容態角張る

王女は見た夢を話す気球に着陸され

真っ青なロビーに口惜しくて虚無僧

洞窟崩落物心はつきましたか

血もなく流す涙の音で一室剥く

去りたい刃がギラギラ集めていたフタ落とす

誰にも見せられない冷たく透き通る剥製

肉じりじりと焼くために風をマイクで拾う

軟膏の夜は長いしつこく

陶器の殻押し潰すと真珠のアンテナ伸びる

シャツ白くひまわり焼いて進む舟

ネジの溝を散歩したい乾季の象たちと

肉林の元の形に蝋垂れて

憎い人形置く土地痩せて黙秘とする

引き出しに蟹休ませる腹八分

泡ほどには消えないバームクーヘンの輪

鴉自身いずれ消え去る空に鳴く

茎は屈曲を嗜むそれしかないわたしのため

つがれて波止場は肥える摩擦を惑星に帯び

深海から落ちる藻粥で受け止める

奇妙な列車の水溶液を浴びている

震える手を噛みちぎるわたしも待つ誰かだ

茂る静脈死の秘宝が欝呼ぶともなく

手鏡に筒当て籠る冬の世界

人と光交互に吸うレストラン不滅

杖重なる非道降れど降れど飾らず

浮力足す今後の柱食い潰し

樽への愛着から泡氷結するでもなく

騎兵の母は錆が好き抑揚もなく

白米どけると裏側に出る触手だらけ

ガラスより透けたい来世を根で抉る

割れた鳥の悲鳴が黄身より遅れて来る

白く濃く幅狂う紙隔離する

ほどほどに土器洗われて川汚れる

墨吹いて地図の山指し示す地図

風化する砂漠よ凍れ蝋の針

ペガサス溺れる巨大な己の心臓に

王子せせら笑う一切の肉知る由

閉幕の余韻が肌に繊維質

性格を喪う友脈絡なく嗅ぐ

瓶に火炎が湖がハテ霧の宿

主賓蘇生を見ず原生林との縁こじれて

すべての母の記号は社会科の丸に

密告者の袖に満ちる轢死した机

見つめると砕くは同じ目にあわせる

臨終に油を実は連れてきた

粘土の竜から割り箸飛び出し胸まさぐる

大雪明けてルーレットのあたりふくらむ

シャツ着せてしどろもどろに猿分ける

ただこの世にだるいものとして泥塗り合う

野辺に固く届くぐるぐるに拉致されて

海の間陸の間分かつ石灰振り込む下女

鶏肉に近い夢など喫煙所で

キヒ桐の箱キヒ開く皮膚のヒビ