2013-07-27
防音のビル厳かにフタを置く
靴片方忘れた手で鉄持つ冷たい
樽に朝日が射す穴を孤独と呼べない
山ほどに熊を焼くべく遅く寝る
岸壁は根付かず長い左右の夢
やりきれない吐血の絵に海押して嵌め込む
馬車馬は病死した札束と十字架を残して
爪と家を換えて女は土を売る
神様水をこぼしました暗転して鶏肉
木の実の紫うららかに遁走を飾る
熱帯に猫の熟知を取り出す率
椀曲がりすぎて球になる筆の先
雪が棲む外から見た外には肉体
心臓の音する手招きぼくもしたい
捨象し捨象しバクテリアが太陽だったのです
夕冴えてフィリピン人の犬の毛足
糸の束ほぐれ封入されたビル
離れの孤独を深める装置に振り子が付く
魂吐く正統をいずれと今は木
語源に空白を課し大河を往く死体