二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2013-12-25

鳥よ恋人よ領地に反響は消えゆく

山鳴りを山の誤報と知って聞く

茶番でひときわ胴体目立たす裸の木

乙女の半身は語感運動せず散りゆく

窓越しの己である闇服しとしと

不気味な蝶をぼくの懐へ逃がす

錬金術師を遊ぶ帰り道光の洪水

ドーベルマンなぜ悲しい液体だからか

屋根真っ白にヘラで埋め尽くす鳥影濃く

空ろな体がリンと鳴る朝よ寒いのか

浮気な山肌ぬめりがちに宵をたばかる

それは幻影だ、と言い尽くすバラバラの骨

里を知らず本懐にただ水流あり

浮き上がり午後の集団西へ向かう

さする手の一番奥に肘がある

解く帯を射る襖から炎の微笑

塩振れば鉄塊そこにあるごとく

タブーは身じろぎ傘ちぎれて暴風雨と話す

字の読めない怒濤にも終点はある

路上の家電を照らす春の日この清き受胎