2011-01-31
空き地縫い合わせる外科医は茫々と来た
花は無数にぼくの名を知らない畑
金の輪跳ねる内部を無血の鳥白く
深い思慮にブランコ下げまたとない円錐
黄緑の海まっすぐ日はナザレの猫
寝て塵を体に積む水道そのまま
かわいい子の旅先に歯車が見える
痛み漂う頭上の館にティータイム
サンバイザー婦人の目をきりっと夏来ず
窪みの水汲み尽くされても生きたい妹
荒ぶ荒ぶ姫君抉られた画布の中へ
血のほかに寂寥流れる野生のトキ
流れる魚の無心と通じてマラカス振る
樹木叩けばコオンと鳴り舌の根が乾く
俗称が私服纏い街そのものを乞う
神殿崩落中時間止める神立ち去るべく
髪浴びて脳震盪裡に穂を抱く娘
平日を包むカプセル呼気溜めて
ああ日射病になりたい窓は一枚