2011-11-23
十二の輪常々赤く西左
小箱に描画されがちに脱がすハンガーの服
月は欄外に落ち主人公が来た記憶もない
逆光の青年の拍手眼に響く
ハ行発する餌食を無辺の床ごとワックス
切手シートを畳から剥がす予兆の襞
父を二度呼ぶ噴火 八咫烏孕む
枕元に月とは違う赤い球体
この時間の果ての墓形に鉄手袋
宇宙はこんなにも薔薇園で馬を刺す
歌が流れ出し半紙を死後たらしめる
正午がてらにミシンで縫う出窓が吸ったカーテン
日の高い晩餐暖簾に幼児の腕
相席で勝手に軋む君が好き
風に吹かれ僕は胃の入れ子となる胃
コピー機からゼブラの皮膚離散の次も離散
昆虫を悼むタオルがマンション中に
包丁首に吊り餡子をたた食べる妻
二年六組「音・い」の机に泡を吐く
受精者など元よりドリアンひとつのデジャヴ