2011-02-28
根の異なる枝絡め合う巨体の魂
つぶらな月の満ち欠け見破る終着駅
薄い邂逅重ねて四次元下の長老
鳥籠が匂う机上に無事な椅子
トンネルに帽子が見え帽子しかない
殖える庭園こちらに反り視点の奥空く
里裏の猫に眼を貸す龍の恩
テレビを模した箱は水浸し重く笑う子
天地ほどもある段差を下界へ痩せていく
不和ぴったり納まるビンの城で給水
僧は死に際チョコレートが好き遺族となる
散逸するドア月に欠け朽ちる年表
すりおろす蛙の着地する地面
ペン先の陰に虚数を飲まれる式
水鳥の中身は岩の如き空気
不慣れな螺旋の星酩酊して強い足踏み
悪霊の愛積む瓦礫はレジャーの墓
埋めたはずの時計の上で止まる太陽
スポンジケーキ埋葬する毒味役のクローン
夢の金の海に無限に山羊死ぬ凪