2011-09-27
夏に秋を思う根でもなく埋めている
牙と鼻先が檻から見え犬ぐろい闇
脳震盪を泳ぐヨットへ咳き込む医者
三角の井戸金縁に泡を吸い
声帯を穿ち穿ち羽飾りの民
無常に結実する藻へ棒状なる月明
炎上閣下滑走路上の杖笑み潰す
工員店から首にゅっと出しルイの治世
乙女が四人爪の土も落とさず花見
愛の呼び声する湿原の彼方も湿原
死んだ貝は花の陰にマッチ売り来る
ジャムに苺を乗せ子供が喪う逆鱗
昏倒した紳士のまだよろける部位に定規
身じろぎひとつが宇宙の幅と等しい山羊
術中にエーテル生ぬるく戦ぐ
未明の宴へ嶽神鈍く塗弓を引く
翡翠の字は入り組んで束の間の亀壊れている
墓に遮光体現れ髭膨大に伸ばす
ニタリと老婆青黒く映るソーラーシステム