2011-04-28
一生涯皮膚を小さく閉じる踊り
指す学者の不在へ立てる黒い地形
水底嬲る切り身はひらひらした人魂
回避は先日済みタイムズ・スクエアを去来
噛んでも覚めない浮遊なら床に食器鏤め
陶芸家を引く牛が割るべく見ている壷
斧持って握り潰す絵叩き割る
ミサイル格納した背筋伸ばし呵々と義父
花咲く雑草煉瓦状にノイローゼを企て
一滴のパン蒸せば氷雨降る某市
窓から見える星全て火星我が身はガス
監視下に経理の女の不燃ハイヒール
夕方に難民として瞼を置く
霧の停止した近所から逃げられない
社員皆倒れる事務所のブランコ一途
神は死なず老い抜く人為の天の裂け目
鉄骨五万と町の昼の悲鳴として交差
祖父の息は肺に薄笑みは外の肺に
サラマンダーに火をつぐランプでもたれる箱
鋏だった液体を囲むフィルムの巻き癖