見透かされてくるぶし浮く神殿押し上げ
穴と信じて歩く淵ノイローゼと並ぶ
燃えては喝采となり支流をこらえ切れぬ桶
半身に寄り添う傘と震え分かつ
教会の屋根にさみしい子の牛乳
もう食べたガチョウに岸を縫い付ける
見つめ続けた色で滑り緩慢な居住
墓守の娘を生きたまま娶る
輪を積む同じ径に昼の黙りがある
電線抜ける孔を肺にえがかれた鳥
錆びた工夫の名を騙る饒舌な老婆
酢を持ち寄る母それとも父いずれも石
螺旋を巡る旅水槽で取り囲む
点描に都が見える花ぐさり
島に船なく一基立つ感嘆符
点字を擦る学生ら海に魂寄せ
閑寂の木は贄矢継ぎ早に枯れ
寄せては叩くビー玉盆地のくらい悦び
袖に触れ野菜歪む脅しとも取れる
呼吸裡に棲むわたしも永き屈折