2009-01-16
緑のシートの下は滝壺徐々に擦れ
ビル吹き抜ける舌雲泥までしならせ
はにかむ古稀パンをちぎってさらわれる
歯車回り孤独な調達に錆散る
脳が引力を知るときは床に落ちている
銃声を取り囲む焦げ臭い蟻
馬の脚の一本は木たてがみに果実
砂利吐いて尾鰭背鰭が付き始める
痣の境に置く兵と死ぬまで一緒
走る雨にドアぶつかりうねる鳩の放射
傘の花柄が垂れる壁の天窓開く
密室の外は震える象だという
羽毛叩きつけて来るものを朝とは呼ばず
偶然の円柱と旧居を分け合う
沼の藻に疼く乳歯をこらえて咲く
紐軽くて浮く大量に春の空
いくつか合わない波長に似て都市の電線
空の桶名残と濁りは橋の下
鋭い射殺体の草むらを分けると矢印
球面の中の森から顔以外の手足