2009-01-01
病んだ砂地の青い館もう一縷の曇り
隠した片目の手の甲から羊が逃げていく
泣くまでの沈黙で木琴踏み割る
茎点々と結ぶ忘れた忘れてない忘れた
日が落ちて倉庫にもたらされた音読
晴れて港は静か蜥蜴の五肢を吊る
期待しないでほしい蛸は話せない波紋
封緘から散る雨見下す灯火携え
夜風照らされ魚の目をしている
葉を弔うスリッパ戻る術もなく
指の間隔磁石で掠める文明の滅び
被る布紫にして川囲む
鏡をハサミ型に切る目を映したまま
揃うワニの歯のひとつ録るために赤い
理由にしたい雨宿りの数奇数を手向け
流暢な仮名遣いで喚く羽の孤児
腐る戸が砂糖の墓になる本文
宇宙くるぶしまでねじれても水を踏む
戸外へ結晶する爪砂時計を返す
竜巻の名残に橋脚を嵌め込む