2010-09-26
虚空の密度を持つ蠅は二秒でできている
禍々しくウェイター滑り来る泥濘
祝うに家の密着無く大声で結う
吹雪に靡く衣服の縫製部位音読
手錠は足に幻は右目に投身
霧は長い爪で歩く受胎を匂わせ
弁当の真綿照らす空中爆発
開口部のない部屋に一滴の囮
渚を指す手首の脈に不備がある
離席する駅長泡立て器をぶら下げ
予知収録された不発弾扇で受ける
嵌め込む孫の数だけ開くドアがある
助走する菜食主義者に柵次々
面前に寝る沼ぬるさも憚らず
根も葉もなく花は散る薄明るい序章
神話の時代柱と柱とわが息
蠍白黒に刷って弧状にくるむ孤軍
ピントの合わぬ初代いつしか岩間の杖
銀紙捻り潰すと亜空間に巨体
剃られた頭を前へ墨汁が垂れるだろう