2010-10-09
冷蔵庫しょって地割れの戸を叩く
庶民枯れゆく音近日をトロフィーでぶつ
紺ばらまき銃殺刑降る五階は無事
米落として泣く軽くなっただがもういい
激情のいかなるときも牛引いて
青ざめた帯いかに肉体指すべき
器に石吐いて燕の命がクルリ
凶作の田に昔から武士の咳
塩買って浅い小舟が隆起する
一行の消息ごと山振り下ろす
雨粒の数ほど先にピンが降る
不死鳥の泳ぎを帽子に伏せ推理
いつ刺せば今夜なのか針の先を焙る
高層階へニワトリ運搬する夜風
ダンサー回る店から五キロ離れて粗食
ニューヨークからニューヨークへ覆うほど肥大
溶けたガラス口を出て苦い床で結ぶ
匙に乗るしめやかさは子という谺
対極の星の襤褸はすべて鎖
掃除が楽で仕方ないこの涙もゴミ