2010-08-31 2010-08-31 口に遠い触媒うねる準備室 凍る白鳥段差を越えられずに砕ける 華やぐ老人は渦巻きに例えにくい 火中の僧暗い騒ぎを目深にする 風光明媚な食肉にすくむ骨しまう 家具水没吊り橋だけが揺れている 噴霧の要項満たす恋敵砂塵と化す 蔦状の逆鱗を抜け北の旅 踊りの範疇にせり出す膝神罰として メダル鋳造謝罪の核を掴み出し 売れ残る媚の蛇腹の意に同衾 種めり込む区画としての濡れた半紙 春の敷物改行して声ばかりする 年表の破線掻き上げ女官去る 呼吸鳴る校庭に朽ちた平均台 古銭弾く篭手緩めて盆地の英霊 山火事で粘膜温めるナマズ ひと一人通れる溝でゴムを嗅ぐ 群像で分かつ峠の円い渇き 手足バラバラに踊り噴出する観覧車