2010-08-09
子供の遊んだ輪に別れの砂を敷く街
嘴が三日月を抜く愛撫の恍惚
鈍角に感染する不均衡の女体
箱の無人で笑うほど手刀の白い腕
寂寞を彩る面で向く南
掘って出す石は冷たい牛の視野
浮遊しない蝶にブルドーザー奏でる
引き戸にのこぎりも引く破片はクッキー
善人の畑を回るミキサーに透かす
不可分に冠編んで村娘
眼鏡借りて三人から離れてもいる
茶碗に石河原がその分凹んで胚
お前が産まれた穴に今ではブラキオサウルス
楼閣の姿縦向く双眸と対
禁句で編む暗闇鐘が三つ鳴る
沈殿する影のかたちに真綿詰める
引き裂く動作で振るハンガー点描目がけて
禍々しい吸盤で押すことが母性
言葉の綾を光りにくる星塔へし折り
フェルトに濾す牛乳でぬくい畦を触る