二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2010-07-28

ただ問い合う応接室に空の水槽

草原が苦いから山小屋浮かぶ

マトリョーシカに月しまい今夜満マトリョーシカ

砂利を板に括った噂が先に来る

ヤシの木の外に鏡の托鉢僧

アルカリ性のカマキリに継ぎ足すチーズ

大いなる壷にせせらぐ華道家の血

縄文杉を孕むから引き出しを出る

煙草屋曲がってくびれているガラスの天地

山すりおろし山にし今度こそ迷う

ベルが鳴り凍る背筋に白馬の王子

捨てたドアを出ようとするカミナリの乱発

バスガイドの握手あたたかい窓割って

ノートにのりを垂らしていつか寝返りうつ

丸い石から斜面に釈放する筋肉

個室に直進する発電機未だ雪の層

死亡推定時刻と合わないマカロニサラダ

深い襖に正座した頬を刺身のぬめり

剥き出しの地雷の上にワイングラス

花びらひらひら舌である土しか知らない