2010-06-30
希有な咎町中に椰子の実を孕む
一重の紙に移り破れた坂を下る
硬直を許す弾痕に活字当てる
菓子焼いて鳥の名残を皿にする
篝火浴び井戸に戯れ返す老婆
爪先が友刺すとき頭部は下敷き割る
タンク歯であれ並びに吸い付く鬱な茎
世界の果ての崖に産毛まず希望が死ぬ
絶海の孤島に飲み込まれて珠玉
気象うねり腐る茎モンタージュの一部
傘無用に絶えず獅子 爪ばかりが空
木の実の断面なら二個ある触れた者らの海
過去に跳ぶ館の断面に窓なく
目のやり場に器もの憂く嵩む枯れ葉
ベランダ干す大ベランダから朝の挨拶
戦車で轢くヒスノイズが聞こえるコーン
意のままに草葉をほどく春の銃
ビーカーへなみなみと後頭部石欠く
帆で動く遺跡森林火災の方へ
こころの群れを催すフィラメントの眼底