2010-06-19
混声の昼間は千々にビールつぐ
トカゲの死骸のそばにフエラムネヴーンと唸る
粉塵と化す壁の会釈会釈で突っ切る
書道のせがませ方キリキリと雨期を狭める
税としてせせらぎへ派生する巨像
もう車の通らない道を人々が寝だした
憚りとは塾の裏手の空想の鐘
植樹に絡む熱巻き上げ神々しい脛
マンションの角に切れ目を雷の為
自己紹介のとき後ろ暗くして帰る
不在の一点寿ぐ女人の血迸る
割った殻の中で流砂に飲まれる白鳥
録って消すなんでも筒に入れるドラマ
脳裏に弾む頭巾被るべき正しい間隔
無糖の稚魚去る雪像はみなみどり児
這って地面が近い息をさせてほしい
虹受ける日陰の崖で黙る兎
果実くれないなら夕がたにそこへ静まる
発狂は明日か時制の国を賭する