二乗千年

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2010-05-26

神子の代で鐘の巨大な影を置く

気も首も同じ紛れるなら宇宙

結露以前に存在していたのか巨人

生きてと囁き続けるラッパに車輪の跡

屋根に登り雷に絵馬を吊る

祝賀の形態刺々しく皮膚張らずに出荷

果皮丸まる枝先を蝋燭で焙る

刑は無音この先幾許かの空中

低く飛ぶ円盤空を雨で撃つ

マッチ湿気る朝靄に語の意味を通す

発芽よける脇腹に亀が刺さる日長

彩色された灰崩せば暗闇と瞼

咆哮絶え閉館後も水弾くタイル

畳んだメモが沈む茶碗の水だけ捨てる

戸引きすぎて隣国の山脈をはたく

木のぬくもりを券で挟んで空く両手

伝令で研ぐトカゲの背いつか領有

肩が陸であるなら船旅自体は死

転がる飴の唾液に映る坂の町

枠は崖に死にそう鳥は枠に消えそう

(ここから2010年)