2010-05-05
穴に立てた線香手がかりなく煙る
餌取った道具から食べヒヒンと死ぬ猿
鍋を囲む客がいた今は灰の山だ
屑畑に屑蒔く屑その屑食う屑
心臓に貝柱置く陸の民
不定の柵は板チョコ息苦しい一数える
車窓にめりこみ保つ故障したビルとの距離
草抜いて海を呼ぶすぐそばに川
電柱・電線幾億も重ねて漏れる昼が星
肌と同じ色の背景に向かって歩く
プールまだ幼く野辺の花を溶かす
斎場見え見てくれ毛羽立つエレベーター
きな粉配る古着の男ごと地すべり
雑感この竹藪を喫する網膜
潰れた手鞠をつく子ぐいと目に入れて帰る
牛のオブジェに目があれば死を理解する
港の老人ショートケーキに杖をつく
神社を焼け出された階段瞳孔で果てる
蜉蝣湧く沼に天狗の面すると母
半分足りない水田に過去から小包