二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2010-04-16

別荘の窓から放射極まる図体

公園にストロー刺して息を足す

双子双方が肩車しくぐる門無窮

大河に水牛襞を伸ばしても水牛

王宮にいないわたしが一番大きい

同じ獣の牙砂漠と幼稚園に突き出る

ソフトクリーム玄関に置いて地割れに出かける

牛飼いの抑揚に背足らず足らず傘

月明かりは優しいねと通信途絶える

泣いてめくらになるよりは崖をちぎる脊椎

返り血浴びた柿猿食う遺言もせず

魚程さする塩滔々と月に衝突

切手貼る氷の窪みから氷

薮刺す杖にあれば関節は星座を凌ぐ

氷柱撚る蛾ども宿にし消す足跡

引き攣るほど懐く猫やや遅れて箏

円をえがく頬の白さに捨て札立つ

石を包む皮膚の薄さを肌に据える

双子の片割れ和菓子屋からいなくなり座礁

紙に書く象鳴く紙の外の沼