2010-03-31
カラス鳴くかも頭痛から物差しの距離に空
未来にいる饅頭を食べている
銀行は膨らむ紙袋から手足
わたしはいったい弦で弾いてみるいい音
洗面器であった輪を持ち雨降る昔
花に首輪を付けて連れて歩く長髪
死後すぐの三半規管に熊が棲む
ソファの陥没から足受信だ書き置き残す
次期皇帝わなわなとキャベツから嘴
同じ空き箱二度目の死は血も流れない
湖畔離れ路上を色とりどりに転ぶ
寄る波さえ密偵開く虫の股
町外れも町でテディベアを捨てられない
水に習う遊びを歩道橋から試す
休日に渡すうなじへ寺望む
擦れば脈々と障子の溶けて滝壺へ
脚立に踏まれ静まり返るオードブル
灯台の虎這う陰をうなじとする
屋敷薄暗く運び込む泥に簪艶く
婦人会報青く刷る警報の夜