2010-03-18
旬過ぎて大樹にぶら下がる目つぶし
ナマズ逃げる図の振り出しに目薬差す
ひとりにさせた星の半分はくらい
いの形に曲げた片腕を渡る鳥
膝にない抑揚誰からも砂場
谷底の牧場へ髪逆立てる
獰猛な柱時計と大広間
巨眼に住む蔑みを地上から寄越す
太古の路上を透ける風見鶏として寝る
窓を打つ若君の爪傘も差さず
ランドセルを焚く女子の靴下は夕焼け
手紙だった砂温める鳥の命
練習場に水放ち戻る石膏像
逆再生上の海にシャンデリアを下げる
樹皮寄せ合い囁き合う砂の不覚
蓮を脱げばまるで電柱また山彦
貴婦人来てめりこむ畑に弾むクッキー
去る汽車を引き止める手に小屋乗せる
宝玉下げた首の船底に近い反響
わたしの設置が漠然と野ざらしの階段