2010-03-11
焦土の中央に宇宙ひとの形をして
斜面に四肢破れて月を運ぶ砂
泥です泥ですと信号そのせり上がる速度
鉋屑の沖から風に聳える笛
澱むゴムの白い汀を飛び出すバネ
砂蛇行した先の舟はおかわりの分
土に代わる感情がなく塩を撒く
いずれチョーク自体が居場所となる山積み
隔日の透視に眩む遠い出血
鍵穴に口づけして今に咲く花
上に落ちる手紙ぼくの足どこ
チャイム鳴る一分ほど足りずにまだ午後
手帳ちぎり揉むと殺されやすい蛾に
キャンドルの火がふくよかだ暗くなりたい
民家を玉座に雲まとわせ王拵える
航空機の腹に舌なめずりの痕
清流にセーターさらすのちくもり
塗料のビンに土曜日空けてつくる紫
夕闇を西にこけしを東に習字
洞窟にありったけの林を突っ込む