2010-02-17
復讐する熊ども無数の指従え
脚注を経由した血の色に暮れる
戸二枚開かぬほど近接し庭のタキシード
夏に戻る路傍の形状記憶合金
地上から地上を撃つ昏睡の射程
筒抜けに石碑までもが部屋の中
積んだ畳から号令が帽子をかぶせる
押し黙る茎と一律に小作人
鉢植えを差す長の指に電気引く
青いアパートが右目にもう泣きそう帰る
窓を噤み靴だけ残して本焼きたい
静けさに宛名を落とす愛の無人
折り目のない手紙は白い雪で閉じる
踏みにじる眼を中心に回る火星
岸見えて筆を置く手が岸である
幻想に宿る癖が抜けない麻酔
寝冷えする下町にフィルターかける
カーテンを通して伏せてある手鏡
騒ぐ魚の録音部屋に秘めて夜景
眠る紙の有効範囲をソーダで割る