濡れた証拠に噛むピーナツが岸を埋める
前転して乗るべき船から遠ざかる
肩寄せあいシャープペンシルの芯を折る
起立して消灯ここら海と化す
耳を抜き毒牙を枕に寝るウサギ
肉眼に歯形受け継ぐ岬の家
何の比喩でもない父が降る火鉢のそば
異邦者ことしも次々とメモを取られ墓石
ただ去れぼくは引き止めない腕を増やす
ずるいニワトリをいっぱい引き連れて会釈
透明な先生の幅に収まり寝る
末日は角張る樹状にぼくだけに
機関銃乱射舞う煮こごりに時雨射す
机の角に書かれた翼を滴るコーヒー
映像がなければ商店街は鉄
冷たい蹄が到達する午前の天王星
膝を他人が抱えてくれ自由な手にナグリ
夏の終わりに自白する薄汚れた海
火の海を漂う樽に古代の稲
今は更地白目に屏風を立てかける