二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2009-12-30

濡れた証拠に噛むピーナツが岸を埋める

前転して乗るべき船から遠ざかる

肩寄せあいシャープペンシルの芯を折る

起立して消灯ここら海と化す

耳を抜き毒牙を枕に寝るウサギ

肉眼に歯形受け継ぐ岬の家

何の比喩でもない父が降る火鉢のそば

異邦者ことしも次々とメモを取られ墓石

ただ去れぼくは引き止めない腕を増やす

ずるいニワトリをいっぱい引き連れて会釈

透明な先生の幅に収まり寝る

末日は角張る樹状にぼくだけに

機関銃乱射舞う煮こごりに時雨射す

机の角に書かれた翼を滴るコーヒー

映像がなければ商店街は鉄

冷たい蹄が到達する午前の天王星

膝を他人が抱えてくれ自由な手にナグリ

夏の終わりに自白する薄汚れた海

火の海を漂う樽に古代の稲

今は更地白目に屏風を立てかける