2009-04-14
突然の恋が奇数を兼ねている
緑の米に浸かり無口を貫くまで
犬と会う砂利よけねばならぬ広がり
対辺の暗さに町の呉服店
刃渡りにテトラポットと揃いの靴
陣痛の男がビルに塗る卵黄
濡れた紙テープは舌若き未婚の蛙
物置を潰す裏庭自身の息
ぶり返す背中を矢文が行き来する
回転して離れる黄昏のキャップだった
仮の名である限り枕を閉じる
架空の弟が生える母の四角い形見
雲割る茎虎の首輪が草なんだね
俯きながら頭上で紙袋を逆さまにする
石の像が飲み込む星僕は笑おうか
友の涙に傾斜するプラケースの植物
脚光浴び終えた足以外花吹雪
潮引いて村に楕円の泥団子
オブラート越しの零時に石ひしぐ
ゆっくり降りた階段紙に写して枕