2010-11-22
村人消す伝来途中の写真技術
春は内臓をねじり続けた文の嵐
幻術で気がふれ返し問いの国
日に日に傾く部屋半年後に大家の染み
全てが鉄でできた街の眼として一輪
騎乗する踏んでつんざく耳あるとき
割ってなお鳴かぬバイオリンと奏者
捨てた覆面へ迸る女生徒の紅蓮
滑り台滑りつつ老人に種蒔く老人
半角カナで感覚質癌患うとある
同文を連ねて淡し壇ノ浦
太陽広いベニヤで打つ腕の往復
笑う肉が犬に食われてぼくもいつか
教祖来て一度に十の魚焼く
屋根の下球根乗せた胸騒ぐ
風船がメモ提げてくるやおら死後
紙の切れ込みから傘雨の愛鳥週間
子犬抱き大きなマンホールしかない
草いつまでもお辞儀してぼくの命乞い終わる
透明な家故障中ロスコの絵