2009-09-07
若い老人燃えないゴミの前でふやける
靴べらの狂いを餅で象る熱
観客等が笑い譲る舞台の椅子一脚
ほつれてばらけるキリトリ線を司祭選ぶ
ギリシャの柱と柱の間に凭れて消える
捨て猫の傘の部分が欠けている
泣く子に近い枝は既に唾液で濡れている
オリーブオイルで満たす生卵の消息
爪を立てるかつて木目と呼ばれた霞
色紙を捌き掲げて吸う晴天
澱みが噛む砂利を日陰で噂する
谷に落ちる馬から借りた首の晩年
丈の長い草の原にクジラ隠す
目の粗い殺風景の粉虚無僧
目に見える死の淵に立つ白羽の矢
渦挟まるドアと性別入れ替える
礼拝の仮定に腸の襞を見る
霧の総本山は下流 紅茶を蒸らす
月抉る暗礁の不義に溶けたチョコ
嘘が好きな茎を追えば寒い入江