二乗千年

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2009-02-19

ペンキ尽きたバケツ下げコンロの火見る

回廊立ち止まる未亡人の皮膚の延長

生後軽やかなニードルになり鳥の飛ぶ場所

苦心の内訳書く紙が縦枠で墓所の風

部屋に積もる雪を蒟蒻履いて踏む

フィルムケースに入れられても泳ぐ水母の滓

風向きに背を向け生家包み研ぐ刃

窓から水を経て見る日溜まり異様に輝く

針金皆手前で溶ける工場から撮る

暗躍の場に仮の姿の爪楊枝

岩へ崖から舌を伸ばすかわすはずのなかった岩へ

駅で疼く背骨 死であるように未知数

傾く炎の輪どれかひとつは冠するため

プリズムから血の気が引く変わりに膨らむパン

粉詰めて吊れば吹かれて鳴く小袋

断絶とは放電を赦す末端とテレビ

銅鑼に打たれ男が剥けていく通路

膝掛けから壁づたいに屋敷を出ようとした

覚めぎわの夢と鉄の先端爪先に

曳航されたいネジで取り付けられた海から