引戸を抱く血相で富士山になる
金粉で森が隠れる息するから
内側から庭を足すフラフープを回し
正当な実害はうねる蔦だ星
窓に映る真空とあやとりで遊ぶ
隣家の不登校児が笑う鳥を笑わない
鬱蒼と蝋が垂れて切り株を塗る
教室のBB弾に隙がない
吐く糸の寒い輪廻となる吐息
濡れるほどカーテンめくれあがり人
手術で消えない笑顔を負う夜更けのパリで
鯨として本の背を食い破る雲
距離を脱ぐ貝柱の巨大な曲線
前日のやっかいになる軒静か
積み荷以外も捨て山のように尖る小舟
今は無人の皿に手を合わせこころを去る
街の火で光る地平に湖干す
縁で数珠つなぎのサブレと対に背中から浮遊
カーテンの襞も患う執刀医
ドまで伸ばした爪で金網を崇める