二乗千年

ꂭꄨꂻꋅ

2009-12-10

引戸を抱く血相で富士山になる

金粉で森が隠れる息するから

内側から庭を足すフラフープを回し

正当な実害はうねる蔦だ星

窓に映る真空とあやとりで遊ぶ

隣家の不登校児が笑う鳥を笑わない

鬱蒼と蝋が垂れて切り株を塗る

教室のBB弾に隙がない

吐く糸の寒い輪廻となる吐息

濡れるほどカーテンめくれあがり人

手術で消えない笑顔を負う夜更けのパリで

鯨として本の背を食い破る雲

距離を脱ぐ貝柱の巨大な曲線

前日のやっかいになる軒静か

積み荷以外も捨て山のように尖る小舟

今は無人の皿に手を合わせこころを去る

街の火で光る地平に湖干す

縁で数珠つなぎのサブレと対に背中から浮遊

カーテンの襞も患う執刀医

ドまで伸ばした爪で金網を崇める