さよならの透明に明日のえっと午後
路頭に伏す列の儚みから魚
慎む鐘の音より淡い蓮を研ぐ
頭身を持たぬ神なれども死なれども死
雫から触覚泣かれぬ悲しさよ
小屋壊してウサギがいた頃のようにする
浅い意識に誰かの足首あり円環
すっぽり排水溝に嵌るイーと伸びた母音
ねじ切られた鉄板とタンポポで正方形
屋根の無い家は弁当箱白い老婆
白黒させた眼を無名のピアニストに弾かれる
耳の左の公園にピタリと白馬
建物の関節となる癌患者
土砂象拳銃ヒト分厚い雲ときて生活
警官の皮を薄く光る森に延ばす
同僚の正しい記憶に縄の痕
工場もともとみんなの椅子もともとみんなも椅子
麦わら帽子が北から南を貫く飴舐める
墓に慕情ネクロマンシーからロマンス
助産婦奇声を上げ枕を抜け殻に投げる