鳥居囲む舟二艘から米の嵐
屋根割れて一本の麺湯に漂う
川沈む肥沃な顔面して弔う
隣人に熱奪われ壁の円い痕
囲碁極まり同じ祖父が多数浮く庭
柱を浴びている老婦限りなく息吸う
定規と道が交差するに足りぬ失踪
次に会う師のいた場所にかんなくず
畳まれつつある生け垣に紛れ蜂を折る
悲しむ姿も型に取り持ち去っていく
水槽は友人を帯び寒い客間
戦列を凌ぐ青葉が増える麓
星を消す巨躯網膜にはにかんでいる
溺れる犬の足にバナナ触れプールの底
野に朽ちた紐をなぞって逃げる蝶
引き上げた釣瓶に牙が乗っている
屈伸して螺旋の一部となる企み
マンションの亀裂に沿って開けば花
舌に積んだコピー機の節回しで落盤
竹林霞むほどの花束持ち欠席の形